使用済自動車を全部再資源化するためには、残留する銅分を0.3%以下まで選別回収しなければならない厳しい品質スペックがあります。
鉄鋼製品をスクラップから造る電炉製鋼メーカーは、極端に銅分を嫌います。銅分が含まれていると融点の違いから鉄が冷えて固まり始めているのに銅だけがまだフツフツと固まらないため、鉄の表面に気泡ができたりJIS強度がクリアできないなど製品不良を引き起こす、鉄にとって銅はじつに厄介者なのです。

 使用済自動車には多量の銅製品(銅分)が使われています。ハーネス(銅線)、パワーウィンドやワイパー用モーター類、ヒューズBOX、コンピュータ、ABSユニットなどなどすべてを分別回収しないと0.3%は到底達成できない数値です。
ロボットアームで銅線類を回収しようとすると車ごと引き寄せてしまうため、車が動かないように押さえ込まなくてはなりません。オートクランプを合体させた自動車解体専用重機もありますが、重機を旋回させると飛び出ているクランプを周囲にぶつけたり壊したりと作業安全面に不安が残ります。

 そこで、大越工業が開発した秘密兵器:オートクランプロボです。
油圧ユニットによるクランプの上げ下げから始動、緊急停止にいたるすべての動作を先鋭女性オペレータが無線で遠隔操作しながら銅分を*0.21%レベルまで選別回収してしまいます。同時にロボットアームの付いた重機が他機と互換性を保つことができ、部品の共有化など標準化が進みました。

  「羽交い締め」「コブラツイスト」「卍固め」「関節技」と使用済自動車を自在に押さえ込み、銅分を完璧なまでに選別回収する手助けをしています!
オートクランプロボは、今日ももろ手を挙げて試合に挑み続けています。

(*0.21%:JFE条綱(株)鹿島製造所における残留銅分含有量の溶解試験数値結果)

■オートクランプ(オリジナル開発)
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■オートクランプロボ&ロボットアーム
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